琉球大学工学部工学科社会基盤デザインコース

研究活動紹介

琉球の空と海に、川と沿岸のデザインを添える:水圏環境工学分野

日本列島の南端部に位置し、日本で唯一、亜熱帯地域に位置する琉球大学において、社会基盤デザインコースの水圏環境工学研究室では、海洋性の大自然を工学的に研究対象としており、研究室や実験室での研究にとどまらず、沖縄県の持つ地理的及び自然環境的特性を活かして、海、山、川のフィールドを直接的に教育や研究に取り入れ、最新のコンピュータシミュレーション技術を駆使しているところが特色として挙げられます。さらには、こうした教育と研究成果を活かし、地域から日本全体の自然環境特性への反映、社会基盤のデザインと防災、あるいは地球規模の問題解決への取り組みへも対象を広げていけるのも、南国琉球という位置ならではの教育環境と言えます。

現在の研究対象をいくつか具体的に上げると、沿岸での流れ及び生態系のフィールド調査、河川のフィールド調査、日本の大学としては最大規模の造波水路を用いた波浪実験、スーパーコンピューターを用いた洪水解析、土石流など水と土砂の流れの数値シミュレーション、津波シミュレーション、海洋構造物の創造、サーフィンに適した波創り、海洋エネルギー開発、津波防災研究等などがあり、多様なアプローチで研究を進めています。これらの成果は、洪水への対応、土石流への対応、津波や高波などの防災技術の開発、自然環境に配慮した新しい海岸の保全技術やビーチ設計、川づくり、砂防技術の技術開発や企画提案などに活かされています。

文責:福田朝生(水圏環境工学分野 准教授) 2020.7.10

 

水圏環境工学研究室

 

環太平洋地域のビーチタウンにおける津波減災対策:社会システム計画学分野

2004年のインド洋大津波では、22万人以上の死者・行方不明者が出ました。震源地に近いインドネシアのバンダ・アチェでは6万人が犠牲となりましたが、海岸から500m以内は居住禁止という政府方針は守られず、今では8万人が暮らすようになっています。

津波からの復興状況を調べるため、2020年3月にスリランカを訪れました。インド洋大津波で大きな被害が出た南部のウェリガマというビーチタウンです。ここでも既に海の近くまでリゾートホテルや住宅が建設されていました。調査をしていて一つ気がついたことがあります。ウェリガマの主要産業である観光の最大の目玉はサーフィンですが(写真1)、実は東日本大震災で大きな被害を受けた福島県の海岸線も良い波が立つことで有名でした。つまり、津波が高くなりがちな地形は、サーフィンにも適していたというわけです。

東日本大震災以降、日本では巨大な防潮堤が建設されてきましたが、ハワイではハリケーンによる高潮被害の際に住民が防潮堤建設に反対したため(海とのつながりを重視したため)、新規の住宅は高床式とすることを義務化しています (写真2)。地震が起こりやすい環太平洋地域において、ビーチあっての観光地や漁を生業とする漁村では巨大な堤防で海とのつながりを断ち切るわけにはいきません。そうした地域では、ハワイのような高床式住宅と海岸林を組み合わせたソフトな津波減災対策が適しているのかもしれません。

文責:安藤徹哉(社会システム計画学分野 教授) 2020.6.3

 

スリランカサーフ

写真1 スリランカ・ウェリガマのサーフシーン

ハワイ高床式住宅

写真2 ハワイ・カウアイ島の高床式住宅

 

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